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250年前の水路を歩く

滋賀県長浜市を流れる余呉川。
琵琶湖に流れそそぐこの川に、山を貫く「西野水道」という放水路があります。

現在は3代目のものがつかわれているこの放水路。
初代の放水路が完成したのは、なんと江戸時代のこと。
しかも初代のものは今も現存していて、自由に中を見学することができるのです。
250年前から存在するこの水路を、20年前にこの世に生まれた僕が見学してきました。





掘削に5年もかかった西野水道

地形の関係でたびたび余呉川が氾濫し、そのたびに飢饉に襲われていたこの地区。
そこで、このあたりの僧、西野恵荘が立ち上がり、1840年に工事が開始。
とはいっても現在のシールドマシンのような機械はもちろんなく、ノミなどを用い手作業で彫り進められていきました。
途中、何度も何度も岩盤にぶち当たりながら、220m程の距離を5年かけて掘り進み、1845年に完成。

それから約100年後の1950年に2代目の水路が、その30年後には現在使われている3代目の水路が完成して今日に至るのです。



1950年から使われていた2代目の水路。現在は遊歩道として整備されている。



現在の水路。前日が雨だったせいか水量が多かった。もちろんここは立ち入り禁止。




そしてこれが江戸時代につくられた初代西野水道。県の重要文化財にも登録されています。わかってるなあ滋賀県。さすがは僕の本籍地。

みてのとおり、初代の西野水道はまさに「お先真っ暗」。
技術が発達した戦後につくられたふたつの水路とは違い、手作業なので迷路のように左へ曲がったり右へ曲がったりしています。
おまけに電灯という文明の利器なんて設置されておらず、中は本当に真っ暗。
ここに入るには懐中電灯が絶対に必要です。

しかも地面は水たまりも多くちょっと危険。
間違えても運動靴で突入しちゃうと、靴下の中の足までビショビショになること間違いなしです。


用意周到!

さて、今回はTwitterで集まったメンバー、計5名でこの水道にやってきました。
西野水道に到着してあたりを観察していると、こんなものを発見。



長靴はもちろん、懐中電灯にヘルメットまで!

なんとびっくり、中に入るために必要な三点セットがそろっているではありませんか。
実は事前の下調べでは長靴は貸出されている、という情報しか得てなく、これは予想外。
移動前に電気店に立ち寄って大きな懐中電灯を買うか否かという打ち合わせまでしていたのですが、杞憂に終わりました。

わーいコスプレコスプレー、と心躍りながら三点セットを借りて、江戸時代の水路に入る準備を整えます。

しかし、無料でこんな手厚いサービスがあるとは、西野水道すごいぞ。



準備中に可愛い水門まで見つけちゃったりして。



そして準備は整った。5人で足出して記念撮影。

さあ、いよいよ準備が整いました。
三脚を持って行く人、ストロボを装備する人、みんな準備はいろいろ。
はたして各々の装備は吉と出るか凶と出るか、全ては次のページで明かされる・・・?



ちなみに、底に穴が開いた長靴もあるらしく、一瞬全員慌てふためいた。


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Last update:2010/6/23